もらったホタルイカ

43ホタルイカ

生まれて初めての仕事をした。
所用で訪れた同級生のY子宅。呉服店を営む着物売り場の横の厨房。
ホタルイカをくれるという。

わたしはホタルイカの生など見たこともなかった。
まずフネをこうしてとり、その反対側にある墨つぼをこうしてとる。次に二つの黒い目と
口をここに包丁をいれてひねり出す。
わかったかといわれても初めて見るイカの料理法。面倒くさそう。

くれたイカはずっしり重い。
面倒くさそうな料理法は10匹までが限度だ。しかしおそらく50匹ほどいるに違いない。
案の定この下ごしらえにはいつやめようかと常にかんがえていたが手の指をひきつらしながら
なんとか終えた。何回も指が引きつった。胴体と足がバラバラにはずれたのも10匹はいた。
一番めんどかったのは、イカ墨の袋をとる仕事だった。

もういいからね。くれても10匹が手頃だよ。やっちゃん。
といいながらも彼女の料理の腕は認めているので、素直に全部やり通したのだ。
変なところで律儀になるわたしであった。

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