キャッチボールのお相手は超実力者

105船村徹
(写真)ウィキペディアより拝借
わたしが21,2才のとき(昭和41年くらい)貧しい下宿生活をしているときの話である。
日曜日の昼下がり、グローブとボールをもって下宿の近くの擁壁でひとりボール投げを
していた。15分くらい経ったときである。すぐ横の家から頭がぼっさぼさの青年が出て
きて、わたしもいれてくれないかといわれた。

二人でキャッチボールをするほうが面白いので、どうぞどうぞと30分弱やってると、私は
少し疲れたからと礼を言いながら家に帰って行った。

わたしはその頃、歌謡曲にはあまり関心がなく、この人があの偉大な船村徹氏とは知る
よしもなかった。そのころでも船村徹といえば知らないわけではなかったが、いま起きて
きたばっかりみたいな頭をして出てきたので、まさかあの有名人とはつゆ知らなかった。

ふとそんなことを思い出して、家の前までいったが表札は福田とあったので、やっぱり
違うのかと済ませていた。

その後だんだん気になりだして図書館で調べてみると、船村徹氏の本名は福田さんで
住所もわたしの近くで間違いなかった。わたしより一回り年上だったから、あのころは
34,5才で油の乗り切った最頂点にいた偉大な作曲家だったのだ。

その後何度かひとりでボール投げをしていたが、姿を現すことはなかった。

大むかしの東京での思い出より。

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